公務員の教員ってどんな投資をすればいいの......?
公務員である教員は、どんな投資をするのがいいのでしょうか?
結論から言うと、教員に最もおすすめの投資戦略は「新NISAを優先し、余裕があればiDeCoを利用する」です。
この記事は、公務員である教員におすすめの投資について、最適な商品選びから、NISAとiDeCoのメリット・デメリットまでを解説します。
まずは非課税枠を利用してインデックス投資
投資を始めるなら、まず注目したいのは非課税枠を活用することです。
日本には新NISAやiDeCoといった税制優遇の仕組みがあり、特に教員のような安定した収入が見込める公務員にとって、これらを上手に利用することが投資の成功につながります。
非課税枠を最大限活用しながら、長期的な資産形成を目指しましょう。
では、まずNISAやiDeCoとはどういったものなのかを解説します。
NISAとは
NISA(少額投資非課税制度)は、投資による運用益が非課税になる仕組みです。
2024年からは新NISAがスタートし、非課税投資枠が年間360万円(積立枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯で1,800万円に大幅拡充されました。
NISAのメリット
1.運用益が非課税
NISAでは、通常課税される運用益(配当金や売却益)が非課税となります。
長期的な投資で大きな効果を発揮します。
2.資金拘束がない
NISAはiDeCoと異なり、いつでも引き出し可能です。
急な出費やライフプランの変更にも柔軟に対応できます。
3.商品選択の自由度が高い
投資信託、ETF、株式など幅広い金融商品が対象です。
特にインデックス投資信託は手数料が安く、長期投資向けとして人気があります。
利用する証券口座によって購入できる投資信託は異なりますが、主に以下の2つのインデックス投資信託が優良とされています。
- eMAXIS Slim オールカントリー
- eMAXIS Slim S&P500
どちらもメリットが多く、優良な証券口座です。
- 手数料が低く、無料になる場合が多い
- 取扱商品が幅広く、投資信託の種類が業界トップクラス
- ポイントを貯めやすい
- 銀行との連携が優れている(住信SBIネット銀行、楽天銀行)
- 資産管理がしやすい
SBI証券も楽天証券も優れた証券口座なので、どちらを選んでも間違いはありませんが、住信SBIネット銀行と連携させたい人はSBI証券を、楽天銀行と連携させたい人は楽天証券を使うのがいいと思います。
NISAのデメリット
1.損益通算ができない
損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺することです。
上場株式等の投資を行って利益(譲渡益、配当利益等)が出た場合は税金がかかりますが、一方で損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができます。
NISAの利益は、他の投資口座で発生した損失と相殺することができません。
逆に、NISAで発生した損失を、他の口座の利益にぶつけることもできません。
デメリット分を差し引いても、新NISAは1,800万円分の非課税枠がある超お得な制度です。
iDeCoとは
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が所得控除の対象となり、運用益も非課税になる制度です。
将来の年金として受け取れる一方、原則60歳まで引き出せないという特徴があります。
iDeCoのメリット
1.所得控除による節税効果
掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。
仮に毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると、年間2.4万円税金が軽減されます。
2.運用益が非課税
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、「iDeCo」なら非課税で再投資されます。
iDeCoのデメリット
1.資金拘束が強い
原則として60歳まで引き出せず、途中解約もできません。
急な出費に対応できないリスクがあります。
2.出口戦略が難しい
iDeCoは、年金か一時金のどちらかで、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することも可能)
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」を利用することで、税金を抑えることができます。
しかし、長期に渡り教員として勤務していた場合、退職手当だけで退職所得控除額を超過してしまいます。
公立の教員は、地方公務員であり、退職手当は地方自治体、都道府県や市区町村から支給される。
退職金の平均支給額は、総務省の「令和5年給与・定員等の調査結果等」によると以下のようになる。
60歳定年退職者への退職金支給額トップ5
1位:兵庫県/2312.8万円
2位:岡山県/2287.1万円
3位:三重県/2284.8万円
4位:静岡県/2283.5万円
5位:京都府/2273.0万円
上記のような場合、退職金のみで退職所得控除の枠を使い切ってしまい、税金を納める必要がある。
そのような場合、iDeCoに退職所得控除が使えないため、課税されることになります。
また、年金で受け取る場合も、公的年金未支給期間なら公的年金等控除が使えますが、公的年金受給後は、公的年金だけで公的年金等控除額を超過してしまい、課税されることになります。
つまり、iDeCoは「今」を節税によって楽にしてくれるけど、「将来」に税金がかかる、いわゆる税金の先送りみたいなものです。
退職手当や年金が、何歳からいくら受け取れるかにも関連してくることですが、このようにiDeCoは出口戦略が非常に難しいものになっています。
3.制度変更リスク
iDeCoは、税制改正大綱において制度が実質改悪されたという経緯があります。
令和6年12月20日に決定した、令和7年度の与党税制改正大綱において、iDeCoの見直し内容の一部が「改悪」だとSNS上で話題に。
現行では、60歳でイデコの運用資産を一時金として一括で受け取った後、65歳で退職金を受け取れば、退職金にかかる所得税が最大限で控除された。
しかし、今回の改正で、控除額を最大化できる年齢が70歳に引き上げられた。
仮に、60歳でiDeCoの一時金500万円(加入期間:20年)、65歳で退職金2000万円(勤続年数:35年)を受け取る場合、今回のルール変更で、勤続年数とiDeCo加入期間が重複している期間分が控除対象外となり、退職金の課税額は変更前に比べて約4・3倍に拡大する。
将来的にさらなる改悪のリスクを考慮する必要があります。
教師の投資の最適解はNISA優先
教員という職業特性を活かすには、以下の理由から「新NISAを優先し、余裕があればiDeCoを利用する」ことが最適です。
新NISA優先の理由
- NISAでは、運用益(配当金や売却益)が非課税で、資金拘束リスクがない。
- iDeCoは、掛金全額が所得控除の対象となるものの、「教員は退職金や年金が多く、退職所得控除と公的年金等控除をうまく使えない」というデメリットがある。
- よって、教員はNISAの非課税投資枠を優先して埋め、余裕があるなら iDeCoの非課税投資枠も利用するのがよい。
iDeCoは、NISAの非課税枠を満額埋めた後に余裕がある場合に検討しましょう。
また、資産の最大化が目的であれば、コストが抑えられた「eMAXIS Slim オールカントリー」や「eMAXIS Slim S&P500」を、NISAや iDeCoを利用して運用することをおすすめします。
まとめ
教員が投資を始めるなら、まずは新NISAを優先して非課税枠を埋めることを目指しましょう。
その後、余裕があればiDeCoを活用し、さらなる資産形成を図ることがおすすめです。
いずれの場合も、インデックス投資である「eMAXIS Slim オールカントリー」や「eMAXIS Slim S&P500」を中心に商品選びをすることで、安定した資産形成ができていると言えます。
教育現場での忙しい日々の中でも、効率的に資産を育てる投資戦略を実践してみてください。
『教師の年収アップNavi』は、他にも教員のお金にまつわる情報を発信しています。
参考にしていただければ幸いです。